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本当にあったファームの怖い話〜いちごファーム編〜 その3【オーストラリア編】

みなさん、おはこんばんちは!

ひろとです。

 

本日のトピックはこちら

 

本当にあったファームの怖い話 いちごファーム編 その3

 

前回は低収入のせいでまさかのレント割れしてしまったところまでお送りしました!

 

hiroto901219.hatenablog.com

 

お金がまったく貯まらない、むしろ働けば働くほど減っていくという地獄のシステムに気がついA君とそのワーカーたち。

今回はお金の面とは別の角度から生まれた新たな脅威について触れていきます。

 

ちなみに便宜上、あたかも私が体験したかのように書き綴りますが、あくまでも私の友人のA君のお話なので、あしからず。

 

では、今回も張り切ってスタート!

 

 

ケース2 コーワーカー洗脳事件

 

仕事を始めて10日が経った。

私の現状はというと、だんだんと仕事には慣れてきてはいるが、やはり収入は伸びない状況が続いていた。

このままではまた今週もマイナスになりそうである。

そんな絵に描いたような地獄の中、なぜ私が正気を保っていられるのか。

それはやはりコーワーカーの存在が大きいように思える。

 

コーワーカーは基本的にアジア人しかおらず、その大半がコリアンだ。

コリアンの子達は基本的に良い子だが、お互いの英語力のせいで正直言うとそこまで仲が良いとはいえない

 

次にタイワニーズ。

こちらはコリアンほど数は多くないが、国別では2番目に大きい割合を占めていた。

こちらも英語力の関係でそこまで深い関係の子はいなかった。

 

最後に日本人。

数こそ多いとは言えず、自分も含めて5人程度であったが、過酷な状況であることも手伝ってお互いに助け合いながら生活をしていた。

みんな良い人で仲がよかったこともあり、新人の私にとっても居心地が良い場所でもあった。

私にとってこの日本人チームこそが、まさに心のオアシスであり、かつ精神的な支柱であったのは言うまでもない。

おそらく、この子達がいなければ自分は初日で心が折れていたと思われる。

そのくらいこの日本人チームは自分にとって大きな存在であったのだが、この関係性を脅かす事件がある日突然勃発することになる。

 

ある日、いつも通り働いていると、こちらもいつも通りスーパーバイザーから怒号の嵐が吹き荒れ始めた。

この怒号の嵐に初日こそ面を食らったものだが、1週間もすればすっかり日常の風景と化し、ある種慣れてしまうところが人間の怖いところである。

 

そんな怒号の嵐の中、1人の日本人コーワーカーがミスをしてしまった。

さらにミスはスーパーバイザーに発見されてしまい、烈火の如く怒られてしまう結果に。

先ほど説明したように、この頃の私たちにとってスーパーバイザーの存在というのは常に怒号を飛ばしてはいたものの、ミスをしてターゲットにならない限り、そこまで取るに足らないものになりつつあった。

その姿を例えるのであれば、行き先が読みづらい嵐のようなもので、あちこちに怒号という名の被害をまき散らしつつふらふらしながらも、決して一定の場所には留まることはない、そんな有様であった。

言ってしまえば、過ぎ去るのは早いのでそれを待てば良いと言ったところか。

しかし、一旦ミスをしてしまうとそうもいかない。

ミスをしたが最後、突如嵐は台風へとランクアップし、台風の中でもあまり動きの少ない停滞型のそれに形を変え、ミスしたものの横に居座り続けるのだ。

もちろん、怒りという名の最大風速は上がり続けるため、その勢いがなくなるまでこの状況を耐えなければならない。

 

この日がまさにそれで、このコーワーカーは結局仕事が終わるまでスーパーバイザーにやいやい言われながら仕事をする羽目になっていた。

なんとも不憫である。

仕事後、怒られていたコーワーカーに声をかけると、心なしか少し元気がないように思えた。

ただ、そんなに怒ることなのかと、いつも私は思っていた。

そんなこともあり、先日の仕事終わりにファーム経験のある友人に自分のファームの雰囲気や現状を伝えてみることにした。

うちのファームが普通なのか、否かを確かめるためである。

一通りの説明を終え、友人の言葉を待っていると間髪入れず友人はうちのファームは異常だと言い放った。

収入の問題もさることながら、特筆すべきはその雰囲気。

友人曰く、毎日のように怒号が飛び続けるこのファームの雰囲気はどうやら異常の域に達しているらしい。

さらにあまり休憩を取れないことも伝えると、それはありえないと一蹴されてしまった。

どうやら私はハズレのファームを引いてしまったらしいと、この時ようやく気がついた。

友人には早くファームを変えた方がいいと言われたが、他に良いファームの情報もなく、かつ今は移動するほどの貯蓄もなかったため、移動することは諦める他なかった。

 

翌日。

いつも通り職場に行くと、そこにはいつもと違う風景が横たわっていた

なんと、スーパーバイザーがいないのだ。

どうやら、スーパーバイザーは今日来ないらしい。

こんなことは仕事を始めて以来、経験のなかったことだが、古株のコーワーカーに聞いてみるとごくたまにこういうこともあるらしい。

 

まさに台風一過の面持ちとはこのことである、と私は思った。

昨日までいた台風はまるで嘘だったかのように姿を消し、気分は台風一過の後に訪れる気持ちの良い晴天のごとく、晴れやかだ。

この雰囲気は仕事開始後も変わらず、1日穏やかな雰囲気で仕事を続けることができた。

もちろん、普段まともに取らせてもらえない休憩も小まめに取りながら、ゆったりとした雰囲気で仕事をした。

 

仕事後、昨日怒られていたコーワーカーに話しかけると、本日のリラックスした雰囲気がよかったのか、いつも通りの元気が戻っており、安心した。

こんな風に毎日働ければなあと思ったが、そんなことはありえないとすぐに考えを改めた。

翌日、やはりというか当然の如く、スーパーバイザーは来ており、また台風の脅威を耐え忍ぶ日々に逆戻り。

それでもなんとかミスせぬよう努め、毎日の仕事をなんとか乗り切っていた。

 

そんな日が何日か続いたある日。

またスーパーバイザーが来ない日があった。

台風一過再びである。

歓喜の雄叫びがコーワーカーの中で湧き上がる。

コーワーカーの気持ちはひとつであった。

私も日本人のコーワーカー達とその喜びを分かち合っていると、突然1人のコーワーカーの様子がおかしいことに気づいた。

 

その子は日本人の女の子であった。

基本的に優しい子でよく喋る子の1人であった。

その子の様子が何かおかしい。

なんとなく、この状況にイライラしているように見受けられる。

私は意を決して話しかけてみることにした。

 

今日、スーパーバイザー来ないって!やったね!

「ふーん、そうなんだ。」

やっぱりスーパーバイザーいると雰囲気悪いからね。

「うーん、どうだろうね。」

え?なんで?

「いや、なんでもない。仕事行こっか。」

 

このような会話を交わし、私達は仕事をスタートした。

結局、この日も和やかな雰囲気の中、仕事を終えた。

明日もこんな日になればなあなどと、叶わぬ願いを胸にその日は帰宅した。

 

すると、翌日まさかの展開が続く。

なんと、この日もスーパーバイザーがいなかったのだ。

またもや、歓喜に包まれるコーワーカー達。

私は喜んだのも束の間、すぐに例の女の子を探した。

例の女の子の様子が気になっていたのだ。

私は例の女の子のもとに駆けつけ、スーパーバイザーがいないことを告げることにした。

 

今日もスーパーバイザーいないって!

「え?ほんとに?そっか。」

なんで?嬉しくないの?

「うーん、こんなこと言いたくないけどさ。みんなスーパーバイザーいないとペース落ちるじゃん?あの雰囲気が嫌なんだよね。」

え、そうかな?うーん、まあたしかにたまに話してる子とか、休憩してる子はいるけど、別に個人の稼ぎが減るだけだしいいんじゃない?

「そうなんだけど、ああいうの見てるとこっちまでやる気失くすからやめてほしいんだよね。この緩い雰囲気ほんとにいやだわ。」

 

その子はそう吐き捨ててその場を立ち去ってしまった。

なんと、あの子はこのスーパーバイザーがいない状況をよく思っていなかったのだ。

これは予想だにしていなかった状況だった。

ただ、あの子の言い分は理解に苦しむ部分があった。

なぜ、スーパーバイザーの肩を持つような発言をしたのだろうか。

たしかにサボるのは良くないが、多少ペースが落ちるのはそのワーカーの稼ぎが減るだけなので、周りが干渉することでもない。

そんなこんなでその日の仕事は平和に終わった。

 

さらに翌日。

なんと、この日もスーパーバイザーがいなかった。

どうやら、体調を崩していると風の噂で聞いた。

この日も穏やかな雰囲気で仕事ができると安堵していたのも束の間、例の女の子が突然周りワーカーに向かってこう言い放った。

 

今日はみんな喋らずちゃんと働こうね!

スーパーバイザーいないからってだらだらやるのよくないから!

 

そう吐き捨てると、すたすたと先に立ち去ってしまった。

なんだこの状況は?と周りにいたワーカー達が立ち止まり、面を食らっている。

私は少し事情を知っていたので、周りのワーカーに彼女がこの状況をよく思っていないことを伝えた。

 

なんとなく、少しぴりついた雰囲気の中仕事がスタートした。

ただ、そんな雰囲気も長く続かず、少し時間が経つとやはり雑談をする者も現れ、昨日までのような雰囲気にだんだんとなっていった。

そんな折、突然それは怒った。

 

みんなちゃんと働いてよ!

 

例の女の子が叫んだのである。

何事かと全ワーカーの動きが止まる。

 

こんなだらだらしてちゃダメじゃん!

 

そう、まくし立てながら怒りを露わにする女の子を、私はまったく理解出来ずに眺めていた。

なぜそんなに怒る必要があるのか?

すると、隣にいた日本人のコーワーカーがこう呟いた。

 

たぶん洗脳されちゃったのかもねえ。

「え?なんて?」

いや、洗脳されちゃったんだよあの子。

「洗脳?」

前はあんなかんじじゃなかったもん。スーパーバイザーとかファームの悪口一緒に言ってたし。だって、この稼ぎで休憩もまともにないのはありえないじゃん?でも、最近急にあの子がファームの肩持つようになってさー。

「そうなんだ。」

たぶんこのおかしい状況が当たり前になり過ぎたのと、スーパーバイザーと仲が良いのが原因だと思う。

「え、そうなの?」

仲良いんだよね、あの子とスーパーバイザー。で、一緒にいるうちにだんだん上手いこと洗脳されちゃったんだよきっと。

「うーん、そうなんだ。」

 

洗脳?

そんなことがあるのだろうか。

確かに人はありえない状況が続き過ぎると、それを異常だと判断する感覚が麻痺していき、結果その状況をなんとも思わなくなるというが。

それにしても、そこまで手のひらを返したように態度を変えることがあるのだろうか?

もしや、と私は思った。

もしかすると、彼女とスーパーバイザーはすでにそんな関係ではないのかもしれないなと私は思った。

ワーカーとスーパーバイザーが付き合いだすというのは、ありえない話ではない。

そうであれば、すべて合点がいく。

スーパーバイザーの彼がいない今、この状況を変えられるのは私だけだと言わんばかりの勢いはそこから来ていたのかもしれない。

 

それから、その子はまるでスーパーバイザーであるかのような振る舞いで、周りに注意を促し続け、決して和やかな雰囲気にならぬよう努めていた。

もちろん、休憩も許されることはなかった。

スーパーバイザーがいないのに、まるでスーパーバイザーがそこにいるかのような錯覚に陥るほど、その勢いは凄まじく、当然雰囲気は最悪だった。

 

仕事後、少しその子と話してみることにした。

 

おつかれ。あのさ、べつにあそこまでする必要ないんじゃない?みんなも完全にサボってるわけじゃないんだし。

「なんで?雑談したり、休憩取ったりしてる時点でサボってるじゃん?」

んー、でも稼ぎが減るのはその人の問題なんだから、いいんじゃない?

「前も言ったけど、私はあの雰囲気が嫌なの。だから、注意しただけ。真面目に働こうって言うのがそんなに悪いことなの?」

んー、たしかにそうなんだけど。

 

そう言われてしまうと私は何も言うことができない。

結局、この女の子とは最後まで折り合いがつかなかった。

 

翌日以降、この女の子は全ワーカーと一定の距離を保ち、スーパーバイザーとしか話さなくなった。

私はなんとなく、寂しい気持ちになってしまった。

私はまだここで働き始めて日が浅いが、なんとなくコーワーカーとは心がひとつになっていたと思っていたからである。

こんな言い方はなんだが、スーパーバイザーやファームという敵に毎日立ち向かう、戦友的な感情をコーワーカーには抱いていたのだ。

そんなコーワーカーの1人にあんなことを言われるのは、なんだか辛い思いがした。

たしかにあの子が言うことは正しい。

ただ、たまの雑談や休憩などは許されてもいいのではないのだろうか。

 

そんなもやもやした気持ちのまま、ようやく2週目が終わった。

2週目もやはり、というか当然の如く、稼ぎが支出を上回ることはなかった。

あの日以降、私達日本人チーム間にはなんとなく、嫌な雰囲気がずっと漂っていた。

しかも、それを払拭することはもうできないようにも思えた。

前はあんなに仲良かったのになあ、と1週間前の記憶を遡る。

1週間前のことがすごく前のことのように思えるのは、毎日のように怒涛の展開が繰り広げられているからであろうか。

 

2週目の稼ぎもマイナスで終わり、精神的支柱であった日本人チームの雰囲気も悪くなり、当時の私はすごく不安定な状態だった。

そして、さらに事態は悪化の一途を辿ることになる。

この不安定な状態に追い討ちをかけるようにある事件が起こるのは、この数日後であった。

この事件が決定打となり、私はこのファームを去ることになる。

文字通り死にかけたこの事件の模様は次回またお送りすることにする。

 

次回 ケース3 運転接触未遂事件

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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